望まない土地を相続した場合に手放すことが可能になる相続土地国庫帰属制度が今年(2023年)4月27日からスタートしている。本制度を利用して手放した土地を新たに所有してくれるのは国である。
なお、本制度の詳細については、コチラを参照されたし。
この制度を知った時、本制度の利用を検討したいと思った土地があった。
その土地は、登記簿上の地目は「畑」で1,000坪の大きさである。私も親も農家でないが、どう言う訳か親が所有していたので、私が相続することになった。
相続したものの農家でないので、耕作することはなく、年に1回除草剤を撒いている。つまり、使い道がないが、定期的にある程度の管理をしていて、日頃から手放せるのなら手放したいと思っていた。
そこで本制度が利用したくなる制度なのか否かを判断するために、本制度を調べてみた。
まず、気になったことは、新しい制度なので制度スタート前に相続した土地も利用できるかである。本制度は制度スタート前に相続した土地も対象になるので問題はなかった。
次に気になったのは、本制度を利用するには負担金を支払う必要があることである。手放した後は国が代わって管理しなければならなくなるので、管理費の一部を元々の所有者である相続人が負担してくれと言う考えである。
負担金は原則20万円となっているので、このまま手放さず所有し続けたら、除草剤を撒いたり、固定資産税を払い続けなければならないので、20万円なら我慢するしかないかと思った。
しかし、20万円は原則なので例外がある。田・畑の場合は、市街化区域又は用途地域が指定されている地域内、あるいは農用地区域内であると、土地面積に応じた計算式で負担金を算出する必要がある。本畑は農用地区域内にあるので、負担金は20万円でなく計算式から求める必要があった。計算してみると271万円の高額になることが分かり、開いた口が塞がらなかった。
現在所有に当たって直接掛かっている維持費は、固定資産税のみであり、年間4,355円である。負担金271万円は622年分の固定資産税に相当し、私がこれから622年超えて生き続ければ元が取れることが分かった。勿論、手放さずに所有していれば毎年除草剤を撒く管理作業が発生するが、この作業の10年間分を人件費に換算した場合に271万円が妥当かと考えると、ぼったくりの様にも感じてしまう。
以上から、私は本制度の利用を諦めた。ただ、本制度は土地によっては負担金20万円で済むケースもあり、また相続した土地であれば昔に相続したものも対象になるので、相続したものの、ただ同然で良いから手放したいと思っている土地を持っている方は本制度を検討してみる価値はある。