農地バンク(農地中間管理機構)とは、日本の農業の構造改革を推進するために創設された機構である。
平成26年3月に「農地中間管理事業の推進に関する法律」が施行され、同年11月までに農地バンクが各都道府県で創設されている。
この法律の目的は、農業経営の規模の拡大、農地の集団化、農業経営を営もうとする者の参入の促進等により、農業の生産性の向上を図ることである。
現在、日本の農地問題は深刻である。耕作放棄地はこの20年間で、約40万ヘクタールに倍増し石川県の面積(4,185K㎡)に迫っていて、農地利用は全農地の半分程度である。それを今後10年間で農地利用を8割に上げることを目標にしている。
農地バンクは、耕作放棄地や主に高齢農家などから規模の小さな農地を借り受け、必要な場合は基盤整備等を行い、担い手(法人経営、大規模家族経営、企業等)が集約した形で農地を利用できるように貸し付ける。
ところが、初年度(2014年度)の集約実績を見ると、年間目標面積の14万9000ヘクタールに対し3万1000ヘクタールであり、2割程度に過ぎない状況であった。
一方、政府はTPPをにらみ、農地の集約化を加速させ競争力を上げるために、農地税制を次のように改正しようとしている。
農地バンクに貸し付けた場合、貸付期間が15年以上の場合は5年間、10年以上なら3年間を固定資産税を半減する優遇策を導入する。また、耕作放棄地は、農業委員会の勧告地に対し固定資産税が1.8倍に引き上げられる(平成29年度から実施予定)。
ただ、これらの政策により、農地の集約化が加速するとは思えない。と言うのも、耕作放棄地の多くは中山間地域(平野の外縁部から山間地のことで、日本の農地の約4割を占め、農家の4割を占めている)など集約に向かない農地が多いからである。地域に応じた細かな対応をしていかないと、耕作放棄地は減らないと考える。