柴崎春道と男性の顔の水彩画

8回目の個展で、前回の個展から1年以上も経ってしまったが、途切れながらも、どうにか趣味が継続している。
今回は人物編であり、師匠(柴崎春通)のYoutube動画を参考にした水彩画である。
人物の水彩は始める前から、私には難しいと感じていた。実際に描いてみると、自分がイメージしている顔と違う人物の顔になってしまう。要するに、人間の顔はモチーフと少しでも違うと別人に見えてしまい難しい。
実力不足を実感しながらも本個展で人物が終了し、ホッとしている。

備忘録

師匠の人物編の動画を視聴し、参考になった師匠の発言等を以下に作品毎に整理しておく。

女性の顔
女性の顔の水彩画

  • 本作品は、光が正面から来た設定。
  • 顔の基本形は卵型。その縦の中間が目の位置(動画を視聴する限り、目の下の位置)、更に、その半分の中間が鼻先の位置。
  • 顎と首の接するところは少し暗め。首を暗くすることにより、顔が手前に浮き出てくる。
  • 目玉は少し上の方に寄るように。目の上半分は少し暗く。
  • 上唇は下唇より少し暗め。上唇と下唇の間に影を。
  • 鼻の下にも影を。
  • ポイントは、顔の基本形と目鼻のバランス。また、肌を塗る時は、余り色を塗り重ねないように。
女性の顔
女性の顔の水彩画

  • 本作品は、光が右上から来た設定。
  • 顔の右側は日陰だが、この時、皮膚の色を塗ろうとすると、明るい色になりがちなので、大胆に暗い色(イエローオーカーとバートンアンバーの混色)を塗る。暗いと思っても、乾くと色が明るくなるので大丈夫。
  • 髪の毛に背景の色を塗り重ねることにより、髪の毛がしっとりと背景と溶け合って空間が生まれる。但し、髪の上の方は強い光が当たるので、背景の色を塗り重ねない。
  • ポイントは、陰の面を十分暗く描いて、立体感を強めること。
女性の顔
女性の顔の水彩画

本作品は、光が右上から来た設定である。
  • 基本的な(日本人の)顔の色は、ローズマダー、イエローオーカー及びコンポーゼブルーの混色。皮膚の色は部分部分により色が違い、この3色の割合により対応できる。
  • 少し位、赤い方が良く、赤くなった顔の色に、グリーンのライトを塗り重ねると、明るい顔が自然に見えてくる(顔の一部にグリーンを塗り重ねていた)。
  • 日陰部分は、上記3色の混色に、コンポーゼブルーとローズマダーを加えた色を大胆に塗る。
  • 肌の血の赤さは大事で、頬等にどんどん加えて行くことにより生命観の宿った人物になる。
  • 首の色は、基本的には顔より暗くなる。
  • 下唇はシワが寄り、光っている部分あり。
  • 口角に暗い色を塗り、また上唇の下側は暗い。
  • 小鼻は目頭から真っ直ぐ降りたところに来る。
  • 眉毛と目の間に対し、目の中央当たりの色を取り除き明るくする。それは、この間も目の丸みがあるから。
  • 眉は、目尻が終わる当たりから曲がる。
  • 目の上部に暗いブルーを塗る。この表現は、瞼が前に出ているので日陰になっていることを意味する。また、目頭に赤い色を置く。
  • 目の輪郭は、上瞼だけ暗い線を描き、下瞼には余り描かない。下瞼にも描くと違和感のある目になってしまう。
  • 二重瞼も、両端を強く描き、真ん中を薄く描く。
  • 目玉は、明るい色の部分を描き、次に暗い色の部分を描く。そして、光が来た方向に紙の白を残して光りを作る。
  • なお、目は余り強く描き過ぎないことも大事。
  • 背景の色を髪の毛に塗り重ね、背景とテーマ(人物)を常に一体化するように描くことは、どんな絵を描く時でも大事。
  • 髪の毛は筆を割って描く。
  • 髪の毛も頭の丸さを意識して描く。
女性の立ち姿
女性の立ち姿の水彩画

  • デッサンでは、まず垂直線を引き、頭部(師匠のデッサンでは頭頂部より少し低い位置)と足元の位置を決め、その二等分の位置に腰が乗る。更に二等分した位置に胸と膝下がくるようだ(師匠のデッサンから判断)。
  • 顔は大きくなりがちなので、少し小さ目に描く。手はちょっと大き目に描き、足は立派に表現する。
  • 足は、人間の体液が下の方に寄るので、上半身よりも赤っぽくなる。膝小僧は特に赤く、間接部分に血の色を出す。また、後ろに引いた足は、手前の足よりも暗く塗ることにより、足の前後感が出る。
  • 手の指は軽く描き、4本全部を描かないことが肝心。
年配男性の顔
年配男性の顔の水彩画

  • 師匠は最初の段階で、顔の日向と日陰をはっきり描き分けていた。顔の正面と側面の明暗のコントラストを強くして、大きな立体感を表現する。
  • 目を描き過ぎないこと。目以外の顔の部分に注力を注いで描くことで、人物の個性を際立たせるようにする。
  • 洋服は顔とは対照的に思い切って単純化する。
  • 余談であるが、私は空はまだ描いたことがなかったので、どんな空になるか心配だったが、それなりの空に見えるので満足している。ただ、「プレバト」の水彩画を視聴していたら、絵心のある生徒が別の生徒の作品を見て、「空が晴れて明るい時は海の色も明るくなる。」旨を指摘していたので、そうすると本作品の海の色は失敗したようだ。
女性の横顔
女性の横顔の水彩画

  • 顔全体の明るさは、額、鼻及び向こう側のほっぺは紙の白を活かす。
  • 眉はお化粧する様に描くのはNG。あくまで顔の形態感に合わせて描く。
  • 髪の毛を描く時は、一色で塗りたくなるが、髪の毛も光が強く当たって輝いているところ、暗く日陰になっているところ、それらの中間のところと、それぞれに明るさも違えば、色も違う。
  • 髪の毛は、向こう側と手前側で奥行きが違う。そこで、手前側はしつこく色々遣り(違う色を重ねたり、引っ掻いたりなど)、向こう側はちょっと描くだけにする。それにより、両者の距離感が出て、頭部の立体感が強まる。また、髪の毛は実際以上に色の変化を付けると絵画として面白くなる。
  • 何事も日陰の面は、少し単純化することが大事。
  • 肩の先端は、皮膚の色でなく、血の色を足すのがポイント。
年配女性の顔
年配女性の顔の水彩画

  • 目と鼻の間に耳あり。
  • イエローのディープとバーミリオン(朱色)の混色(オレンジ色)を薄めたものを顔の基本色とする。人間の皮膚の下には、どこでも血液があるので、肌色ではない。
  • 上記オレンジ色に、ローズマダーを加えて赤くして、頬の下、鼻の下、目の凹み、額や頬の側面に塗れば、生命感が溢れた人物になる。
  • クリムソンレーキとコンポーズブルーの混色(凄い暗い赤)で、顔の日陰を塗る(鼻の下、頬の下、顎の下、目頭当たりの凹み、及び首全体)。
  • ローズマダーで下唇、更に暗いクリムソンレーキで上唇を塗る。
  • 帽子は、帽子の中に頭部の形が納まっていることを意識して描くこと。
添景人物
添景人物の水彩画

  • デッサンでは、上記の「女性の立ち姿」と同様に、まず垂直線を引き、頭部(師匠のデッサンでは、顔全体に対する頭頂部から1/3位の位置)と足元の位置を決め、その二等分の位置に腰が乗る。
  • 頭(顔)を小さく描く。
  • これまでと同様に、顔、腕及び脚など皮膚が見える部分は、できるだけ血の色を塗る。
  • 顔の目鼻や指の様な細かな物は描かない。私の感想は、細かなことは気にせず、陰やハイライトを意識して描けば良いと思った。
  • 複数の人物がいても、少し体を傾かせたり、脚の開き方を変化させるだけで、違うように見える。
  • 後方の背景を暗く塗ることにより、人物が明るく浮き上がってくる。また、影を描くことにより、人物がしっかり地面の上を立っている感じがでる。
少女の顔
少女の顔

子供の顔の特徴は次のとおり。
  • 顔の縦方向に於ける目の位置は、大人より下にする。
  • 永久歯が生え揃っていないから、大人に比べ顎が小さいので、顔の下の方が小さくなり、首も細くする。また、これにより、目、鼻及び口が相対的に大きくなる。
目の位置をもう少し下にすれば、より子供っぽくなったのかも。もっと可愛く描いていたつもりだったが、現実は厳しい。
ベンチに座る男性
ベンチに座る男性の水彩画

  • 椅子に座っている人を描く場合は、椅子にぴったいりと体を付けて座っているイメージを持って描くことにより、その人自身が椅子の形になり、座っている人物になる。
海辺の男女
海辺の男女の水彩画

  • 男性は、肩を少し広めに腰を少し狭めに描き、色を塗る時のタッチは少し直線的なタッチにする。
  • 女性は、肩を少し狭めに腰を少し広めに描き、色を塗る時のタッチは少し曲線的なタッチにする。
傘を差す少女
傘を差す少女の水彩画

  • 子供は体全体に対して、頭が少し大きめ、手足が太くて短め。
  • 顔の目鼻を描きたくなるが顔の表情を余り描かなく、体全体を子供っぽく描くことが大事。
少女の顔
少女の顔の水彩画

実際に師匠の解説どおりに描くことができたかは別にして、師匠は次のように描いていた。なお、滲みの効果を利用しているので、吹付けを使って画用紙を濡らしながら描いていた。
  • まずは、背景を含め、明るい色で塗り、最初からデッサン的なことを考え過ぎずに、大きく滲みの効果で色を置いていく。だから、人物の境界を気にせずに背景に食み出るように塗れば良い。
  • その後は、軽い筆圧で色を重ねて行く。
  • 笑顔は細い目も大事であるが、口元の口角を少し上下させるだけでも感情がはっきり出てくるとのこと。

完成した作品は少女に見えなく、出来栄えにショックを受けた。大失敗と言いたいが、仮に再度描いたとしても少女っぽく描ける自信がない。どこをどう直せば良いのかも全く見えてこない。失敗ではなく、私の実力がそのまま表れたとみるべき。微かにせよ、人物の顔は描く毎に上達しているかと思っていたが、勘違いであった。奈落の底に突き落とされた作品である。

笛を吹く少年
笛を吹く少年の水彩画

  • 笛を吹いているので、矢張り指先が大事。師匠は不透明水彩の白で指先をはっきりさせていた。
  • 上半身の笛を吹いているところがメインなので、下半身を余り描き込まない。
  • 帽子とスカーフにポイントが行く様に、白服は白い紙の背景に溶け込ませるように表現する。
  • 丁寧にじっくり描くところと、筆のタッチを活かして大きく描くところと、表現に抑揚を付ける。

My Art Gallery

今回は、めげながら描いた14作品を展示する。