以下に、不動産業界のIT化の進歩スピードをある視点から考えてみる。
電子書面が可能に
不動産取引に於いて、契約書等の原本が従来の紙媒体だけでなく、電子化された書類(電子書面)として扱えるようになった(詳細は、コチラを参照されたし)。
ITを活用した環境を整備すれば、重要事項説明や売買・賃貸借契約書の説明が、仲介の不動産業者の事務所へ来店せずに、自宅のパソコン等の画面越しに受けられ、その場で電子契約を締結し、電子書面(原本)を受け取ることができる。
これを実現できるようになったのは、次のことが可能になったからである。
- 従来であれば重要事項説明は対面で行う必要があったが、非対面の画面越しで行えるようになった。
- 改竄されていないことを確認できる電子書面による電子契約が可能になった。
契約書等の扱いの変化
これまで契約書等の扱いは次のように変化している。
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私が不動産業を始めた頃は、紙媒体の重要事項説明書や売買・賃貸借契約書を宅建協会から購入し、手書きで必要事項を記入していた。この様な時期に不動産のHPを公開した。
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宅建協会が提供する契約書等がWordデータとして提供されるようになり、インタネットを使ってダウンロードし、Wordを使って必要事項を入力し、印刷したものを原本として扱うようになった。
- 昨年(2022年)から契約書等を電子書面(原本)として扱えるようになった。
IT化の進歩スピード
インタネットは1990年代から民間でも普及しだし、私がHPを公開したのは1997年である。その頃から比べると契約書の扱いが随分様変りしたようにも見えるかもしれないが、電子書面まで四半世紀掛かっている。進歩のスピードはどうなんだろうか?
IT業界では技術進歩の表現に「ドッグイヤー」や「マウスイヤー」があったが、この人間の成長スピードの25年間をIT業界の成長スピードで表すと次のとおり。
- ドッグイヤーの場合
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25年×7倍=175年に相当 2022年―175年=1847年その頃の出来事は次のとおり。
- 1853年:黒船来航
- マウスイヤーの場合
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25年×18倍=450年に相当 2022年―450年=1572年その頃の出来事は次のとおり。
- 1573年:武田信玄が死去
- 1573年:室町幕府が滅亡し、安土桃山時代へ
と言うことは、不動産取引で電子書面による電子契約が可能になった2022年を基準にしてマウスイヤーで振り返ると、武田信玄が亡くなった年にHPを公開し、その450年後に電子契約が可能になったことになる。